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浸水する揺りかごの上でワルツ
螺子を巻く、部品が回転する、オルゴールが歌いだす。
ワン・ツー・スリー、ワン・ツー・スリー。緩やかな三拍子、流れる音色は軽やかなワルツ。
君の傍らで、揺りかごの脇で静かに踊ったのはいつだったか。
愛しているよ、今までもこれからも。胸が裂けるように寂しいけれど後悔はしていない。
一瞬の幸福も長い孤独も。僕達は確かに幸せに生きていたのだから、君のお陰で。ゆりかごも、オルゴールも、全て此処に置いて行く。
海が、もうそこまで来ている。
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