廃部と同好会

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某県三豊市のある高等学校。 膝の高さまである長い黒髪を風に走らせながら烏丸珊瑚は教室へと向かった。 昼休みの間、職員室へ取りに行ったあるものを書いている。 「何書いてんだ?珊瑚。」 一人の少年が珊瑚に話しかけた。 「ああ、蓮。同好会の申請書だよ。ムエタイ部、廃部になっちゃたから・・・」 蓮と呼ばれた少年は背中の真ん中くらいまで伸びた髪をくくりながら話しを続ける。 「ふぅん、なになに?同好会の申請について・・・顧問の教師最低一名、最低部員数三名・・・っておい!」 バン!と申請書を机にたたき付けて蓮は珊瑚の頭を上から掴んだ。 「何勝手に人の名前書いてんだ!?」 そこには、蓮井蓮、と珊瑚の文字で書かれてあった。ぎりぎりと音をたて掴んだ手に力を加えていく。 「うるせっ!どうせ暇なんだろ?毎日商店街うろうろしてるくせによ!」 「何だと!?俺の貴重な空白の時間を奪う気か!?」 そんなやり取りの続く中、短髪をつんつんにたてらした少年が教室に入ってきた。体は周りの者より一回り大きい。
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