日本一と世界一

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ばたばたと、一日が過ぎた。 放課後になると、涼はかつてのムエタイ部へと足を運んだ。 ムエタイ部の木札は取り外され、そこだけ色が違っていた。扉には『ムエタイ同好会』と太いマジックで殴り書いた紙が貼ってあった。 扉を開けると、右手に下駄箱があり、手前にマットが敷いてあった。奥にはロープを四本張ったリングが構えて、左手の奥の柱から四本の柱にはサンドバックが吊してある。四本のサンドバックの手前は筋力トレーニングの設備があった。 そんな中で蓮がミットを構えて珊瑚のキックを受けている。 「ぅああ゛ぃ!!」 ドパン、と乾いた音が響く。女の物とは思えない音。さらに、今までただの帰宅部だと思っていた蓮もやけに手慣れていた。 「きたのね。」 「まさか、本当に入部するとはな。」 蓮の肩に 手を当て珊瑚は息を抜く。 「早速だけど・・・私とやらない?」 「なにぃ?」 涼は眉間にシワをよせた。 「止めとけ、いくら女でも世界王者だ、怪我するぞ。」 蓮が試合をやめさせようとする。 「ふん、それは俺のこと煽ってんのか?」
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