【優等生専用?】

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誠藍学院のクラス割は、一学年五クラス。 成績順に分けられる。 誠藍の近隣にはどういう訳か私立の進学校が密集しており、名門校同士が競い合うように特進クラスを設けていた。 誠藍の特進クラスは、各学年一組。 そこには、名門と呼ばれるに相応しく、中等部からの内部進学組と外部受験組の中で、優秀な生徒だけが集められている。 入学式を終えた生徒たちが、それぞれ割り当てられた教室に入っていく。 入試トップ通過の鷹野叡知は、もちろん一組。 全教科満点という天才的な頭脳はもちろん、そのずば抜けた美貌も相まって、初日から有名な存在になっていたことは言うまでもない。 そんな優等生の巣窟とも言うべき一組の、窓際、最後尾。 暴力的なまでに長い脚を机に投げだし、尚且つ腕を組むという尊大極まりない格好で悠々と外を眺めているのは、名を雨流蒼葵という。 名門校の優等生というにはあまりにも相応しくない態度だが、彼に注意を促す者は誰一人としていなかった。 身長百九十センチ、体重七十三キロ。 特技は武道全般。 性格、自己中心的。 且つ、至って凶暴な十五歳。 中等部在籍中、校内外問わず呼び出した上級生を返り討ちにすること数知れず。 その上、近隣の女子中高生の間にファンクラブがあると噂されるほど整った容姿の持ち主である彼は、良い意味でも悪い意味でも有名人だった。
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