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俺はどことない質問をしたつもりだった。けど失言だったようだ。
「そんなに桃花が気になりますか。やはり修二さんはロリコンなんですね」
貴一の目が敵意の目に変わっていた。
「え?いや、違う!俺は決してそんなつもりじゃない!」
「冗談ですよ」
「おい!貴一、俺をからかって遊ぶなよ」
「桃花なら先に家に帰りましたよ」
俺はまた閉鎖したらしき古びたビルを見た。
「ここで何を?」
その質問をしたとき、会話に一瞬間があいた。
「修二さん、喫茶店にでも入って一度ゆっくりお話をしませんか?もちろん私のおごりで。」
「なんでまた?」
「理由なんていいじゃないですか。ただ私はあなたと話しをしたいだけですから」
「話しをするのはいいけど、おごりというのは無しにしない?」
「なぜ?」
「おごられるという事は相手より立場が低いように感じるから。俺は立場とか関係無しで対等にありたいんだ。」
「修二さんは面白い事を言いますね。わかりました。じゃあおごりは無しで、行きましょう」
高校生の貴一が普通におごるといえるなら、もしかしたら、貴一は金持ちの子供なのかもしれない。それにしてもやはり貴一には違和感を覚える。俺達は近くにあった『サニー』という名の喫茶店に入った。
俺は店員にコーヒーを頼み、貴一は紅茶を頼んだ。
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