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光輝はそうつぶやくと、動きに一線の無駄もなく強烈な蹴りを、バットを持った男に打ち込んだ。
「うっ!」
男はうめき声をあげてバットを道路に落とした。光輝は落ちたバットをすっと拾い、振り上げ思いっきり振り下ろした。そしてバットは男の顔面を少しかすった。わざとかすらせたのだ。それを見た周りの奴らはもう手を出してこなかった。
「光輝強いんだね」
光輝の動きを見て月平がそう言ってきた。
「ああ、俺も初めて見たときは驚いたさ」
光輝が不良達に聞いた。
「まだやるのか?」
「クソ、まさかこんな展開になるなんて」
不良たちは元気なく逃げていった。
不良たちがいなくなるのを確認して、俺と月平は後ろで尻餅をついている男の元に行った。月平が話しかける。
「大丈夫ですか?」
「ああ、おかげさまで助かったよ。」
「お礼ならあいつに言ってやってくれ」
俺が光輝を指で指すと光輝がこっちを見た。男は光輝の前まで行って頭を下げた。
「ありがとうございます。助かりました。それにしても強いですね。」
光輝は嬉しそうな顔をせずただ機嫌が悪そうに言った。
「いや、俺なんかより修二の方がずっと強いよ」
その言葉にその場にいた月平と今助けた男は驚いた。俺はその言葉を言われたくなかった。
「光輝。それは言わない約束だろ」
「全然働かない奴が悪い」
「光輝一人でやれるならそれでいいだろ。」
「まあ、まあ」
月平が仲介した。俺はこれ以上この話題を出すのは嫌だったから、ごまかすように話しを切り換えた。
「まあ、とりあえずお前の妹が待っている場所まで戻るか」
俺たちは美紀と男の妹のいる場所に戻った。
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