第一章 穏やかな日常

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 光輝はそうつぶやくと、動きに一線の無駄もなく強烈な蹴りを、バットを持った男に打ち込んだ。 「うっ!」  男はうめき声をあげてバットを道路に落とした。光輝は落ちたバットをすっと拾い、振り上げ思いっきり振り下ろした。そしてバットは男の顔面を少しかすった。わざとかすらせたのだ。それを見た周りの奴らはもう手を出してこなかった。 「光輝強いんだね」  光輝の動きを見て月平がそう言ってきた。 「ああ、俺も初めて見たときは驚いたさ」  光輝が不良達に聞いた。 「まだやるのか?」 「クソ、まさかこんな展開になるなんて」  不良たちは元気なく逃げていった。 不良たちがいなくなるのを確認して、俺と月平は後ろで尻餅をついている男の元に行った。月平が話しかける。 「大丈夫ですか?」 「ああ、おかげさまで助かったよ。」 「お礼ならあいつに言ってやってくれ」  俺が光輝を指で指すと光輝がこっちを見た。男は光輝の前まで行って頭を下げた。 「ありがとうございます。助かりました。それにしても強いですね。」  光輝は嬉しそうな顔をせずただ機嫌が悪そうに言った。 「いや、俺なんかより修二の方がずっと強いよ」  その言葉にその場にいた月平と今助けた男は驚いた。俺はその言葉を言われたくなかった。 「光輝。それは言わない約束だろ」 「全然働かない奴が悪い」 「光輝一人でやれるならそれでいいだろ。」 「まあ、まあ」  月平が仲介した。俺はこれ以上この話題を出すのは嫌だったから、ごまかすように話しを切り換えた。 「まあ、とりあえずお前の妹が待っている場所まで戻るか」 俺たちは美紀と男の妹のいる場所に戻った。
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