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「それで、志乃の容態は?」
所長は早速話しを持ち出して目の前の女医に話す。女医は、キーボードで画面を操作して一つのデータを表示する。
「これはエクスカイバーが墜落した時の志乃の状態です」
パラメータのようなものが表示されており、多数ある数値が半分のところに集まっている。だが、ある数値だけ飛び出しており所長は「これはまさか・・・・」と解っている口調で話す。
「はい、脳波の交信がありました。しかも、相手側の方が大きいです」
「やはり、あの少年か?」
女医が縦に頷く。公園にいたあの少年は、ここの集中治療室で再生手術を受けた。
「謎が深まったな。志乃のところに行ってくる。調査は続行してくれ」
所長は、医務室から出て行った。
あの機動兵器に乗っていた少女が目を覚ますと男がベットの脇にいた。彼女は起き上がろうとするが男がそれを制する。
「だいぶ楽になったか?」
「はい、直ぐにでも出れます・・・・」
「無理をするな」と言って目の前にいる彼女を休ませようとする。再び横になり所長に質問した。
「あの、公園にいた人は・・・・」
「大丈夫、ここのスタッフが治したようだ」
「そうですか」
少女は、布団の中で安心したそぶりを出していた。
「私、初めて所長が話していた夢を見たんです。私の名前を聞いて来て凄くうれしかったです」
彼女はいつの間にか笑みがこぼれていた。所長は子を見る顔で「そうか」と言って席を立つ。
「じゃあ、また来るよ」
所長はそんな事を言って病室を出た。廊下で何かを考えている。
(夢かあ・・・・)
そして、自分の持ち場に戻って行った。
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