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太陽が西の地平線に沈むこの時間帯は、会社帰りの大人達や下校した生徒がちらほら見る。
USNが発足してから30年は経つ。日本は経済地域として、技術開発地域として新しいスタートを切った。
日本の首都東京はUSNの経済特区として、愛知県は工業地域として機能を果たしている。悠斗は東京の住宅街にあるマンションに住んでいる。住宅街の規模としては大きく商店街の他に学校、コンビニがある。幹線道路に挟まれている割には物静かでど真ん中に地下鉄の駅があるのでかなり便利な場所となっている。
「ありがとうございます」
コンビニから出た悠斗はジュースを飲みながら道路を歩き始めた。目的地は月の宮公園。以前、悠斗が意識を失った場所である。そこに答えがあるのではないだろうかと悠斗は思いつつ丁字路を抜けると本来木々があるはずだがバリケード等で囲まれていた。
“大規模の土壌整備により閉鎖します”と入口脇に看板として書かれていた。一つの隙間もないこのバリケードによって中は全く見えなかった。やはりおかしいと悠斗は思いつつ北へと歩いていった。
「あなたは・・・だれ・・・・」
夢の中で言われた一言。悠斗はそれに引っ掛かっていた。あれは何だったんだろう?と悠斗は思い続けた。あの空間は夢で見るというより、何かに包まれた空間と言った方が正しいだろう。
「そういえば、あの人。あいつに似ているな・・・・」
公園の北口前にある駄菓子屋の出入口脇にある椅子に座りバリケードを見ながら残りのジュースを飲み干した。上から降ってきたもの、あまりにも不自然な公園のバリケード、そして、夢か何かわからない空間にいた少女。何もかもが偶然のようで必然のようでもあった。
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