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なので、実質この家は悠斗しかいない。だから、リビングには誰もいないのだ。
洗面所で顔を洗う。悠斗の顔を目の前にある鏡で怪我の箇所を確認する。
「あれ?傷がない」
一週間前に同級生から暴行受けた時に出来た傷がない。顔はもちろん腕、胴体の一部に出来た傷跡もまったく無かった。
「まるで、魔法にかかったみたいだな・・・・・」
月之宮公園のあたりからどうやって家にたどり着いたのか、何故傷が無くなったのか。悠斗は考え込んだ。
だが、記憶の繋がりがない今の状態ではそんなことを考えても分からず仕舞い。それ以前に、暴行で出来た傷が一週間で治るはずがない。
悠斗は、自分の体の臭いを嗅ぐ。しかめた顔しつつも風呂場に向かう。
「シャワー浴びよ」
そして、服を脱ぎ浴室の扉が閉まった。
男は、格納庫のような場所に入った。巨人のような機動兵器、つまりARが壁に沿って置かれおり移動台に固定されていた。
格納庫の中は、かなり広く中にいる人のほとんどが電動カートに乗って移動している。よく、後部の荷台に乗って自分と同じ場所に行ったり途中で降ろしてもらっていたりする。
近くで電動カートを運転していたつなぎ姿の整備員が男に気付いて側に停めた。
「所長、どこか向かう場所でもありますか?」
所長と呼ばれた男が「奥へ」と指を指し荷台に乗る。
「分かりました」と整備員が言って所長の指を指した方向へとカートが動き出した。
所長を乗せた電動カートは、格納庫の奥へと向かって行った。そこには、ここにある機体とは違う形をしていたARが同じ形の移動台に固定されていた。
キャットウォークでは、整備員が行ったり来たりと忙しそうに移動をしていた。
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