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私は人形
ありふれた中古品店の硝子でできた棚から二段目の一番右端、
硝子の冷たい棚に体を預けるような形で座らされた、その位置からは店内を見回すことも窓の外の景色を見ることもできる。
今日は日曜日だというのにどうやら通りは人が少ないみたいだった、
いつもなら多いはずなのに何故かしら
そんなどうでも良いことを思いながら窓硝子に反射されて映った自分の姿を見つめてみた、
長く艶やかな銀色の髪が腰までさらりと伸びていて、
湿気が余り少ない冬なのに乾燥など一つも見られない、
瞳は青く、
肌は不健康なまでに白く象牙色をしている。
身に纏っているのは黒色のドレス、
顔には少しばかりお化粧も施されている。
人間の基準から言えば私は美人と言われるかも知れないが、
私は自分は明らかに美人とは言えない存在だと分かっている。
何故なら‥
私は
─────────人形なのだから。
今日もこうやって窓の外を眺めて、
私を買ってくれる人を待っているのゆったりと何時までも何時までも。
next・・・・
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