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「...やっぱり僕達、付き合わないか?」
「は...?」
「いや、あの、あれからずっと考えてたんだよ。
それで最近理香ちゃん、辛そうにしてて...
それを見てたら、僕は自分の気持ちに気付いたんだ」
何を、都合の良いことを言っているんだろう。
確かに高橋くんのことは好き“だった”けど、所詮それは過去の話だ。
一度発した言葉は、もう戻って来ない。
取り返しは、付かない。
「...ごめん。
今ちょっと、そういうこと考えていられないから」
「じゃあ待ってる!
理香ちゃんの心が整理つくまで待ってるから...」
やっぱりこの人は、優しい。
強引に引き留めたり、逆ギレしたりもしない。
なんだか、お兄ちゃんみたい。
高橋くんはそれだけ言うと、ニッコリ笑って帰って行った。
やっぱり私は、この人が好きなのかなぁ。
でもまだ、私は受け入れられない。
だって、今は家族の時間を大切にしたいから...
高橋くんの後ろ姿が朝のお兄ちゃんと被って、何故か悲しくなった。
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