47人が本棚に入れています
本棚に追加
「おい、こんな時間に何処行くつもりだ?」
靴紐を結ぶ俺の肩を掴む父。
俺は乱暴に手を振り払うと、目一杯の怒気を込めた瞳で睨み付ける。
「るっせぇんだジジィ!!
一々俺に関わるんじゃねぇ!!」
早くしないと集会に遅れてしまう。
つい最近、友人の圭吾が暴走族のチームを創り、俺は副リーダーを任されていた。
正直気が重いのだが、美人の女には声をかけられるわ、後輩が俺の真似をしだすわで悪い気分ではない。
だから、今親父に構っている暇はない訳だ。
「何だその口の聞き方はっ!!
またあのどうしようもない奴らの所に行くつもりなんだろ!?」
「あーもううぜぇな...
こんな時ばっか父親面すんなよ!!」
「.....」
これは本音だ。
仕事を理由に家に居ない事が多い癖に、俺の行動は縛りやがる。
恩着せがましく言うその声まで、嫌いになっているのが伝わっていないのだろうか。
そろそろ時間がまずい。
もう皆集まっている頃だろう。
「チッ...」
とりあえず言いたい事はまた明日言ってやろう。
立ち上がり、ジャケットを羽織った俺は再度親父を睨んだ後、無理矢理ドアを閉めた。
.
最初のコメントを投稿しよう!