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『パ、パパが...
パパが倒れたの...』
「.....は?」
理香の言葉を理解することが出来なかった。
時と共に、女をまさぐっていた手も止まってしまう。
タオレタ?
何かのギャグだろうか?
『お兄ちゃんが出てった後にね、パパが 頭痛い、頭痛い って言ってたの。
私たち、お兄ちゃんのことで悩んでるのかなって思ってて...
朝起きたら.....』
「...え?いや、待て待て。
昨日ピンピンしてたじゃん?」
怒鳴り合ったのも記憶に近い。
そんな奴が倒れる筈が無い。
むしろ、受け入れられない。
いや、信じたくないだけか。
背中から冷たい汗が伝って行くのが良く判る。
『知らないよ!!
でもパパ自分で息出来てないんだよ?!
お兄ちゃんが、お兄ちゃんが悪いんだよぉ!!』
「り、理香。
とりあえず行くから待ってろ。じゃな」
早々と電話を切った俺は、スヤスヤ眠る女二人を無視し、帰り仕度を始めた。
何年か前、父に誕生日プレゼントとして貰った、あのジャケットに手を伸ばす。
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