4/7
前へ
/16ページ
次へ
『パ、パパが... パパが倒れたの...』 「.....は?」 理香の言葉を理解することが出来なかった。 時と共に、女をまさぐっていた手も止まってしまう。 タオレタ? 何かのギャグだろうか? 『お兄ちゃんが出てった後にね、パパが 頭痛い、頭痛い って言ってたの。 私たち、お兄ちゃんのことで悩んでるのかなって思ってて... 朝起きたら.....』 「...え?いや、待て待て。 昨日ピンピンしてたじゃん?」 怒鳴り合ったのも記憶に近い。 そんな奴が倒れる筈が無い。 むしろ、受け入れられない。 いや、信じたくないだけか。 背中から冷たい汗が伝って行くのが良く判る。 『知らないよ!! でもパパ自分で息出来てないんだよ?! お兄ちゃんが、お兄ちゃんが悪いんだよぉ!!』 「り、理香。 とりあえず行くから待ってろ。じゃな」 早々と電話を切った俺は、スヤスヤ眠る女二人を無視し、帰り仕度を始めた。 何年か前、父に誕生日プレゼントとして貰った、あのジャケットに手を伸ばす。 .
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

47人が本棚に入れています
本棚に追加