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―――亮太ぁ~腕相撲でもするか?
―――おいおい、まだタバコは早いだろうが
―――いつか、二人で飲みに行こうな?
「父さん...父さん.....
うわあぁああぁああ!!!」
もう、押し寄せる感情を抑える事が出来なかった。
個室に俺の絶叫が轟く。
あれほど突き放し、自立したがって居た事が不思議で堪らない。
ただ、一緒に居たい。
俺、以外にファザコンなのかも。
だが、気付くのが遅すぎた。
余りにも早い別れ。
何を言おうと、何をしようと、変わらずそこに居続けてくれるものとばかり思っていた。
人間なんて、いつ死ぬか解らないのに。
一瞬、ほんの一瞬だけ、父さんが微笑んだ気がした。
あれだけ泣き叫んだのに看護師やらは来なかった。
防音作りなのか、状況を察知したのか。
今の俺には関係無いが、な。
さっき、父さんの心臓が止まった。
まだ警告音が鳴り響いている。
しかし俺にはもう、ナースコールを押す事すら、出来なかった。
END
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