vol.0 絶望

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いっそのこと、わめき散らして相手の人に罵声でも浴びせるくらいのことが出来れば、何かが少しは違っていたのかも知れない。 何も答える気配がないので私はその場を離れようとした。 まぁ、誰だってそんな事を言われて答えられないだろうけど。 通り過ぎようとすると、相手の人が口を開いた。 『あの、本当にどうやって償えばいいのか………本当に申し訳ありませんでした。』 その言葉に何か引っ掛かりを感じた。 だって、最後の『でした』って何? もう過去形なの? 事故は終わった事だから? 違うわ。 これは始まりでしかない。 私の一人きりの生活はこれから始まるんだから。 貴方のせいで。 .
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