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<芹香>「…裕也が来る前にお母さんから連絡きたよ。
…きたけど、一方的に用件だけ言って切られた。
こっちが話す隙すら与えなかったもん…。
なんか留守録、聞いてるみたいだった…。」
<裕也>「母さんらしいな。」
<芹香>「でもさ~、おかしくない?あまりにも急な話だしさぁ…
ねぇ、まさか前から決まってた?」
<裕也>「…ん~、決まってたのは決まってたのかな…。」
<芹香>「何、その曖昧さ。裕也も聞いてなかったの?」
<裕也>「ん、なんか前に聞いてたけど…姉貴んとこに行けって言われたのは昨日だよ。」
昨日、娘を溺愛する父さんから、
“海外に行っている間、芹香が心配だから裕也が一緒に住むように”
と命令を受け、俺にとっては断る理由もなく、むしろ有難い話なので急ではあったが父さんの作戦にのったのである。
<芹香>「お父さんやお母さんが忙しいのは分かるけど、急に裕也を預かれなんて言われてもさぁ…。
あまりにも突然すぎて、頭の中がパニック状態なんですけど。」
<裕也>「やっぱさ、まだ俺が学生だから、一応、心配なんじゃない?」
<芹香>「てかさ、裕也って、料理も作れるし、洗濯、掃除も出来るよね?」
<裕也>「うん。」
<芹香>「今までにもお父さんもお母さんもいない時もあったはずだよね?その時はどうしてたの?」
<裕也>「自分でやってた、一応、一通りね。」
<芹香>「ほら、やっぱり!
裕也、全部出来るんだから何の問題もないじゃん!
実家でノビノビと一人暮らしすればいいかもしれない!ね?裕也!」
<裕也>「“かも”じゃないし。
そういう問題じゃないと思うんだけど…。
父さん達は最低でも1ヶ月は帰って来れないって。
んで、家事とかの話じゃなくて、俺が学校に行ってる間に何かのトラブルとか避ける為にっつうやつじゃないの?
多分…
だから姉貴と、」
<芹香>「トラブルって何?」
<裕也>「ん~、あれ、まぁ、例えば俺が問題起こすとか、学校の行事で何かあった時とか…色々。」
<芹香>「え~。何それぇ。」
<裕也>「つか…さっきから何。
何で、そんなに拒否りまくってんの?
俺がそんなにここに住むのがイヤなわけ?
それとも、俺と一緒に暮らすのがイヤなわけ?
んね、どっち。」
俺自身を拒否されてるようで嫌だった。
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