2004.12.02 口腔清掃

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◆ 翌朝。 差し込む冬の朝日に、目を擦りながら身を起こす。 まず、見慣れないベッドが視界に入って来た。 なんだろう、と首を傾げる。 続いて、身体に掛かっていた、自分の物ではない紺色の毛布が剥がれ、カーペットの上に落ちる。 床で眠っていたせいか、微妙に左肩が痛かった。 そしてふわりと漂ってくる、味噌汁の美味しそうな香り。 そこまでしてようやく、寝ぼけていた意識が覚醒した。 「…お早う。 起きた?」 キッチンからひょこっと顔を出す、エプロン姿の友人。 どうやら朝食の準備をしていたらしく、両手にお玉と菜箸を握っていた。 「…いま、何時?」 「7時過ぎ。 朝ご飯、食べるんでしょ? 用意しとくから、とりあえず、顔でも洗って来なさい」 まるで息子に対する母親のような態度で言うと、彼女はキッチンへ引っ込んでしまった。 完全に手慣れた会話のやり取りに、思わず苦笑してしまう。 まだぼんやりしている脳を起こす為、ここは素直に、お言葉に甘える事としよう。 のろのろと立ち上がり、部屋を見回す。 何時来ても綺麗に整頓されたアパートの一室。 自分とは大違いの清潔さに、感嘆のため息が漏れる。 一応とは言え、流石は女の子の部屋だ。 そんな感想を抱きながら、洗面所へ向かい、顔を洗う。 短髪なので大した寝癖もなく、整髪料みたいなモンも付けないので、毎度のことながら放置。 部屋に戻ると、真ん中のコタツの上には既に、朝食の準備が整っていた。 そして、朝の天気予報を眺めながら、茶碗にご飯を善そう友人の姿。 相変わらず手際が良い。 「悪いな。いつもいつも、急に押し掛けて、世話んなっちまって」 「別に…。 もう、慣れたから」 ぶっきらぼうに応え、素早い動作で俺の前に食器を並べていく。 それに感謝しつつ、俺は昨夜からの空腹を満たすべく、ほかほかの玉子焼きに箸を伸ばした。
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