2004.12.02 口腔清掃

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「ったく、悪かったよ。 正直、そこまでアタマ回んなかった」 「ふん。 構わないよ。 元々、キミにそこまで期待はしていないからね」 話が進まないので素直に謝っておく。 それで納得したのか。 前髪をくるくる弄りながら、紅華は清ました顔で頷いた。 「それで? こんな時間に俺を呼んだってコトは、また“そっち”関係の仕事?」 「その通りだよ、カスカ。 ああ、全く、キミのせいで本題に入るのが遅れてしまったじゃないか」 呟き、黒髪の少女は身を起こすと、一冊のファイルを放ってよこした。 古びたソファに腰を下ろしつつ、それを捲る。 幾つかの新聞記事の切り抜きや、プリントアウトされた数枚の書類。 内容に目を通すと、驚いた事に、どれもこの天壌市内の記事だった。 それも、ここ最近の内容ばかり。 そしてそれ以上に目を引いたのが、 「市内連続、ハミガキ殺人事件? ………なんだ、こりゃ」 「ああ。 ここ一月あまりの、天壌市で立て続けに起きている事件を纏めたものだよ。 ニュースも新聞も見ない、阿呆なキミの事だ、どうせ知らなかったのだろう?」 容赦の欠片もない彼女の指摘に、言葉に詰まる。 全く持ってその通りだ。 新聞なんて取ってないし、テレビに至ってはゲーム時以外、電源の付いていた記憶がない。 「いや、そこは分かるんだけどさ。 それにしても、この内容…」 中身に目を通して、唖然とした。 それは明らかに、常識を逸脱したやり口だったからだ。 「くくっ、見ての通りさ。なかなかにグロテスクだろう?」
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