プレ・ラブストーリー 第1章

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「おはようございます、社長」 「社長、ご機嫌うるわしゅうございます」 すれ違う社員達が、彼に次々と挨拶しては、それぞれの持ち場に散っていく。 そう、彼は、七星の従兄弟であり、この会社の社長である。 「まったく…俺が酒弱いの知っててガンガン飲ませてくれてさ、すば…、立花社長。」 「ははぁ~ん。また二日酔いってか」 ニヤニヤしながら、彼、立花昴(タチバナ・スバル)は、七星に軽く肘鉄をお見舞いしてくる。 「やめてくれ、頭痛と悪寒で死にそうなんだよ俺は」 「二日酔いなんてさ、運動して汗流せばソッコー治るって」 「……運動?」 首を傾げている七星の耳元で、昴がささやく。 「今さ、Hなこと想像しただろ?」 「してない!やめろよこんなとこで。誰かに聞かれたらどーすんだ」 「ななちゃんさ、知ってた?弱いくせに懲りずに飲む奴ってMなんだって」 始業時間が迫っているため、せわしなく行き交う社員達。七星はヒヤヒヤしていた。こんな場所でこんな会話……。 耳にかかる昴の吐息に、なぜか腰の辺りがくすぐったくなるような感じを覚えた。恥ずかしさで顔が火照ってくる。
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