2148人が本棚に入れています
本棚に追加
「おはようございます、社長」
「社長、ご機嫌うるわしゅうございます」
すれ違う社員達が、彼に次々と挨拶しては、それぞれの持ち場に散っていく。
そう、彼は、七星の従兄弟であり、この会社の社長である。
「まったく…俺が酒弱いの知っててガンガン飲ませてくれてさ、すば…、立花社長。」
「ははぁ~ん。また二日酔いってか」
ニヤニヤしながら、彼、立花昴(タチバナ・スバル)は、七星に軽く肘鉄をお見舞いしてくる。
「やめてくれ、頭痛と悪寒で死にそうなんだよ俺は」
「二日酔いなんてさ、運動して汗流せばソッコー治るって」
「……運動?」
首を傾げている七星の耳元で、昴がささやく。
「今さ、Hなこと想像しただろ?」
「してない!やめろよこんなとこで。誰かに聞かれたらどーすんだ」
「ななちゃんさ、知ってた?弱いくせに懲りずに飲む奴ってMなんだって」
始業時間が迫っているため、せわしなく行き交う社員達。七星はヒヤヒヤしていた。こんな場所でこんな会話……。
耳にかかる昴の吐息に、なぜか腰の辺りがくすぐったくなるような感じを覚えた。恥ずかしさで顔が火照ってくる。
最初のコメントを投稿しよう!