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「じゃさ、ななちゃん、野球拳でもするか?」
「やらないし、スポーツじゃないし……てゆーか発想がオヤジ」
昴の形の良い眉がピクッと反応するのを、七星は見逃さなかった。
「斎藤君」
「……はい」
「会議の資料、36階の社長室に運んでおいて」
急によそよそしくなった昴はそう言い残すと颯爽と立ち去った。
七星はホッと息をついた。この程度のお仕置きで済んで良かった。
直後、廊下の角から昴の声が飛んできた。
「あ、ちなみにエレベーター点検中で使えないから」
「へっ?」
「平気だよね、ななちゃん若いから」
「……~~!」
七星は思った。
(昔はあんな奴じゃなかったのに……)
思ってからハッとした。
(やべ……昔を回顧する時点でオヤジどころかジーさんだろ、俺!!)
◇◆◇◆
ダンボール箱に山盛りの会議の資料……。
「本気かよ……これ担いで36階まで階段でって……鬼もいいとこだろ」
昴の不敵な笑みが脳裏をよぎる。
(上等だ、やってやろーじゃん!)
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