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ガチャリ。と、ドアが開く。
「高ぇな~」
街のネオンが綺麗に輝く真夜中の港街。
その港街と倉庫街を見下ろす、一つの建物。
少年もこの建物と同じように港街や倉庫街を見下ろし、かつそこから見える夜景を眺めていた。
白いワイシャツをマントの様になびかせて夜景を見渡す。
その港街と倉庫街を見下ろすかのようにそびえ立つ建物。
高い場所から見れば、さぞ綺麗な夜景だろう。
だが、この場所からも充分にその綺麗な輝きを一望できる。
そして、この国の中央に位置する巨大な高層ビルもまた確認できた。
この場所。とは、この街にある港町に建てられている廃墟ビルのことである。
まだ新しい建物ではあるが、時代の目まぐるしい発展の影響であろう。
改装を目前としているのか、廃墟ビルの入り口付近には「関係者以外立ち入り禁止」等の看板が立てられていた。
しかしそんなのはお構い無しで、屋上には1人の少年がそこにいた。
「思ったより楽に入れたけど。ま、オレじゃなくて警備が薄い事を怨んでくれよな?」
誰に聴かせる訳もなく、1人呟き屋上のフェンスに肘を付いて夜景を眺めている。
深夜2時。
人々が寝静まっても、それでも街は眠らずに動く。
背の高さがバラバラのビルは遠くの空を隠すかのように並んでいる。
ビルの窓から光る明かりが、夜空の星の代わり瞬いている。道路には車が所々で見受けられた。
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