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思いの他。夜と言うのは昔から悪行を働く人々にとって都合の良い時間なのか?
それはさだかではないが、少なからずとも機能が停止した港街に車のエンジンオンが響いた。
無論。それは少年の耳にも聞き取れていた。
突然だが『ブラックマーケット』を御存知だろうか?
言ってしまえば『闇取り引き』と言う。
そういった不正なやり取りが行われて売買をするのは、いつの時代にもあるものである。
数台の車からはぞろぞろと黒スーツに身を包み、いかにもな人達が現れる。
そんなどこぞの映画か?と思わされるやり取り。
それが今まさにソレが行われるのである。
『ピリリリ・・・』
携帯電話からなんとも素っ気の無い着信音が鳴る。
少年のズボンのポケットから聞こえる。
少年は携帯電話を取り出し、着信の相手を確認せずに電話にでた。
「おう、真悟か?」
疑問符を浮かべるが、電話の相手が誰なのか確認しなくとも、少年には相手が誰なのかは承知している。
「うぃ!こっちはターゲットを確認!んで和真、そっちはどうよ~?」
軽い調子の相手はそう切り出す。
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