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千と、玲と、私は幼馴染。
保育園から高校まで、クラスこそ別になる事はあれど、何をするにもずっと一緒だった。初めて別々になったのは高校を卒業後した時だ。
私は製菓の専門学校へ。千は直ぐに実家の跡を継ぎ、玲は大学へ進学した時だ。一緒にいるのが当たり前過ぎて、卒業する事で会えなくなるのに、その不安さえ想像していなかった。実際、なかなか会えない環境であったはずなのに、玲や千が時間を作ってくれたから、私は不安を感じる事もなく、以前と変わらず一緒に過ごす事が出来た。
そんな楽しくて、平穏で、幸せな日々がずっと続くと信じて疑っていなかった。大人になった今も、これからも。変わらない日々が巡るのだと思っていた。
あの日まではそうだった。
今から一年前のあの日まではーーー…
一年前の今日、私は二人から告白された。
申し合わせたように二人同時だったので、初めは二人の悪戯かと思ったのを鮮明に記憶してる。でも、柄にもなく真剣な顔をした千と、珍しく緊張した面持ちの玲を見て、悪戯ではないのだと実感した。
二人共大好きだったし、二人共大切だった。でも、二人の〝好き〟は親友としてのものではなくて。それが分かったからこそ、私は二人の想いに応えられなかった。
全ては、私の欲深さのせいで。
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