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「誰に嘘泣きなんて教わったんだ!?」
目が座ってますよ、大石君。
「…乾」
大石が涙に弱い確率100%。
いつか乾が言ってたセリフ。
「ほぉ、乾か。それはそれは完璧なデータじゃないか!!」
「…」
にじにじと追い詰めてくる大石に引きつり笑顔の菊丸。
後ろの棚にガタっと身体がぶつかってしまえば、もう逃げる事が出来ない。
「さぁ、お望み通りキスしようか。」
にっこりと笑う大石に、菊丸は声が出ない。
目をぎゅっと閉じて、大石の怒りが収まるのを待つ。
大石の顔が近づいてくるのがわかる。
心臓がバクバクして。
時間を長く感じる。
その瞬間。
「なんてな。」
いきなり聞こえる優しい声。
恐る恐る目を開けると、大石が口を押さえて笑ってた。
「逆襲成功」
と、一言付け加えて。
どうしてやろうか。この爽やか卵め。
なんて、菊丸は思ったとか思わなかったとか。
終わり
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