Sequence00:間章

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   建物から外に出ると、空はどんよりと暗く、小雨が降り注いでいた。  じっとりとした空気が二人を包み込む。  建物の中にいた時は気がつかなかったので、少し気分が滅入る。 「ちょっとウロウロしてただけなのに降ってきたね」 「一時間はちょっととは言わないと思うけどね」  嫌味を言うラッセルは、斜め掛けのカントリー調の鞄を探ると、小さな赤い折り畳み傘を取り出した。 「ね、姉ちゃんの言うこと聞いといて良かったでしょ」  ラッセルはいつものように八重歯を覗かせて笑うと、傘を広げてアリスに差し出す。 「次からは、絶対遅刻しないでよね」  遠回しに本日の遅刻の件を許すと、ラッセルはアリスと肩を寄せ合い、小雨の降る紛い物の空の下を歩きはじめた。  色鮮やかな真っ赤な傘が小刻みに、そしてリズミカルに上下に揺れていた。
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