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「思ったより人いないね」
二人は当初の目的であった、芸能事務所ピーコック総出のフェスタ会場に佇み、ぐるりと周りを見渡して言った。
人がいないと言っても、アリスが想像していたよりは、という意味であって、それでもかなりの人でごった返している。
小雨が降っているも、つい先ほどまでは皆の目から見た空は太陽が覗いていたので、いやに蒸し暑い。
「今年の指定席チケットは去年より枚数が少ないんだって。その代わりに、ほら」
ラッセルが上を指差す。
アリスが見上げると、立ち見である二階席には人一人入る隙間のない程の人で埋め尽くされていた。
「うわっ……」
「ね。アンに感謝しないと」
引き気味の奇声を上げたアリスは、まさにその通りだ、と頷くと、学校で会ったら必ず、チケットを取ってくれたアンに礼を言おうと決めた。
「そういえば、さっきの店でもらったのって何だったの?」
手にぶら下げている小さな紙袋を見つめて言うラッセルに、アリスはそれを上げて見せる。
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