Sequence00:間章

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「とりあえず、どこいく? フェスタまではまだ二時間くらいあるけど」 「私ね、新しい髪止めが欲しいの! 選ぶの付き合ってね!」  先ほどの不機嫌はどこへやら、アリスは顔を輝かせるとラッセルの手を引いて歩きだした。 「えー? アリスこの前も同じようなこと言って結局買わなかったじゃん!」  ラッセルを眉をひそめ、嫌悪感を露わにした。しかしそこに悪意は感じられない。 「遅刻してきた人に拒否権はなし!」  アリスは言い放つと、お構い無しに足を進める。 「アリスが遅刻して来た時は“女の子は支度に時間がかかるから仕方ない”とか言ったくせに……」  ラッセルはアリスに聞こえているかどうかといった程の大きさで、唇をとがらせて呟いた。 「あーあー聞こえない!」  アリスは人差し指で耳栓をすると、ラッセルのぼやきを聞き流した。  二人の休日はいつもだいたいこのように始まる。  いつまでもこの関係が続くのだと錯覚してしまうような、ありふれた幸せの時間。
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