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「ね、ラッセル!」
アリスは腰をかがめて長い金髪を耳にかけながら、欠伸をするラッセルに手招きをした。
「んあー、どれ?」
間の抜けた面倒そうな声で返事するラッセル。アリスの機嫌はすっかり上々で、それを咎めることはなかった。
「これ! これどう!?」
ラインストーンの輝く髪止めを髪に当てながら、アリスはラインストーンに負けないほど輝く笑みでラッセルに言った。
「……前もそれ見てなかったっけ」
呆れたようなラッセルの言葉に、そうだっけ、と悪びれることなく言って、品を棚に戻すアリス。
ラッセルはこれは埒が明かないな、と心の中で呟き、ゴムで上げている前髪を弄る。
それがラッセルの癖だった。
「ラッセルももっと真剣に選んでよぉー!」
怒ったように小さく頬を膨らませるアリス。ラッセルはそんなアリスを愛おしく思い、静かに微笑んでアリスの隣りに並ぶ。
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