Sequence00:間章

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「んー、どれがいいかな?」  ラッセルはアリスに倣って、腰をかがめて陳列棚を眺めた。  こうやって毎回付き合わされる退屈な買い物も、アリスのことを思えば嫌いになれなかった。 「ねー、そういえば」  アリスは次から次へと様々な商品を手に取り、眺め、また棚に戻すといった作業を繰り返しながら、ラッセルを見ることなくポツリと呟いた。 「んー?」  ラッセルは髪止めとアリスを交互に見つめ、やっぱり彼女を見ることなく言う。 「琉生、最近元気ないよね」 「ねー、どうしたんだろうね」  ラッセルはやっと一つ、銀色の髪止めを手に取って、アリスの頭に合わせながらアリスの話に相づちをうつ。  なんとなくイメージと違う気がして、ラッセルはそれを元の場所に戻した。 「……そういえば」  ラッセルは唐突に何かを思い出したように、別の髪止めを手に取りながら言った。 「琉生がよく話してた人いるじゃん。大学生のさー、愁慈と同じ名字の……」 「吾妻悠輔さん」  アリスは興味を示したように、やっと視線をラッセルに向けた。
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