序章

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「うぅぅ、どきなさいよっ……」 「いや、お前が上だからお前がどけよっ……」 「あっ…… うん…… きやぁ!」 少女が立ち上がろうとして石鹸で滑る。 「ぐあっ!?」 そして、少女の肘が俺のみぞおちに直撃。 わ、わざとにやりやがったのか? うぅぅ…息が出来ねぇ…… 「あ、あんた大丈夫っ?」 「お前はこれが大丈夫に見えるのか…?」 「見える……」 「お前の目は節穴かっ… どうみても大丈夫じゃないだろ」 「じ、じゃあ、どうすればいいのよ!?」 「まずは謝れよ、それが常識だろっ」 「じゃあ、あんたも謝りなさいよっ!! 私の裸見て、おそまつな物さらしたんだから!」 「ちょっと待てぇっ!? お前はあの時バスタオルを……」 「ちょ、ちょと…あんたが起き上がったら あっ!?」 ぷにゅ!? 何だ、この柔らかくて温かい物は…… 少女の顔がみるみるうちに赤くなっていく。 「も、もしかして…… これって、お…おっ……」 「最低ーっ!?!?」 「ぎゃあぁぁぁぁぁぁっ!!!」 少女の拳が俺の顔面にめり込んだ。 寒さのせいもあって痛みが倍加している。 「め……目が……っ」 「ふんっ!! 自業自得でしょ!? ずっと、そうしてれば」 そう言っては足早に立ち去って行った。 そして、俺が風呂から出る時には雪はもう降り止んでいた。
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