序章

24/30
前へ
/44ページ
次へ
「唯未ちゃん、さっき何があったんですか?」 結香は何がの部分を強調してにやにやしている。 なんだか、微妙におっさのセクハラみたいだぞ。 「そ、それは別にいいでしょ。 と、ともかく私は絶対に反対だからね」 「唯未、そんなふうに言ったらはる君がかわいそうだよ」 「うっ、雪鳴もこいつのかた持つき!? どこの馬の骨か分からない奴置いて何の特があるのよ」 さすがに俺もここまで言われるとカチンときた。 「あるさ……」 「えっ……」 「特ならある……」 「何があるって言うのよ……」 「家族が増える……」 唯未「…………。」 「ぷ、ぷはははははっ。 お腹痛いっ。 よじれるっ。 よじれるっ。」 「何がおかしいんだ?」 「…おかしいに決ってるでしょ。 家族? 笑わせないでよ。 あんたと家族になる位なら死んだ方がましよ」 晴樹「…………。」 「そうか……」 「みんな、そう思ってくれるといいなって考えてたんだけどな…… だめか……」 俺は本当にそう思っていた。 みんなと家族みたいになれたらって思っていた…… だが、現実は甘くない。 「私は…… はる君は家族だって思ってるよ。 うぅん、結香ちゃんも唯未も光一さんも鈴さんもみんな…… みんな、私のかけがえのない家族だよ……」 「もし、唯未の思う家族が血の繋りなら私には家族はいない」 そう言って場の空気が凍りつく。 血の繋った家族がいないってどういうことだ?
/44ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加