序章

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「なぁ? 血の繋がった家族がいないって……」 俺は言ってしまってから気がついた。 それは聞いてはいけない事だったんじゃないかって。 だが、もう遅い。 既に俺は質問してしまっている。 「……うん。 私にはね……」 「雪鳴っ!! こんな奴に教える必要なんてないわよ」 「で、でも……」 「でもじゃないっ!! こんな部外者に教える必要なんてない」 部外者か……。 俺も嫌われたものだな。 まぁ、確かにあの展開は俺が悪いと言えば俺が悪い。 だが、ここまで敵視されると心に痛い部分がある。 「はーい、みんなケンカしないのよ。 早くしないと私の料理が冷めちゃうでしょ。 ほら、晴輝君も食べて」 鈴さんはそう言うと料理を小皿に取り分けて渡してくれた。 鈴さんが作ってくれた料理は本当に美味そうだ。 だが、こんな雰囲気ではさすがに食べるきもしない。 ただゆいつ、そんな空気も苦にしない結香だけはもくもくと食べていた。 「そうだよ、みんな食べようか。 うわぁーっ、本当に鈴ちゃんの料理は美味しそうだな。 出来れば僕も取り分けててもらえば嬉しいかな」 「光一さんは自分でやって下さいね♪」 そのにっこりとした口調で軽く流された事に気付かずに、分かったよとおじさんは嬉しそうにしていた。 男とは単純な生き物だな……
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