開始

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険悪な雰囲気にトキと沙羅は戸惑う。 「とにかく…今はケンカしてる場合じゃない!」 しかし返事は返ってこなかった。 一間置いてトキが見上げながら言った。 「これ…向こうに聞こえてるよね?」 悠介はハッとした。 そうだ。パニックになっていて忘れていたがそんなことも言っていた。 「おい…聞こえてるんだろ?」 『なんだ?』 すぐに返事が返ってきた。 この男はずっと俺達の会話を聞いていたんだ。 「ヒ…ヒントとか…ないの?」 トキが途切れ途切れに言う。 『そうだな、このままじゃつまらない。』 つまらないとかの問題じゃない! 『このままじゃ5人とも死にそうだからな。』 この…。 『そうだな…。Sだ。』 どういうことだ? 『これからSと呼んでもらおうか。同時にそれがヒントになる。』
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