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「・・・俺が、俺の中に戻る事が出来れば・・・もしかして!?」
「・・・あぁ」
奏平君も頷きながら助かるだろうと確信してるようだ。
自分もそう思うのだから、きっとうまくいくはず。
ただ、ヒトツだけ気になることがあった。
ヒトツだけだけど、最大の疑問であり恐怖だった。
「でも、俺は・・・どうなる?」
「!」
アレが本当の俺自身で、俺があれから分離していたとすると
『俺』は中に入ったとたんに吸収され、消えてしまうのかもしれない・・・
・・・消えるのは、怖い。
「俺は…消えたくない…よ」
「何いってるんだ!このままじゃ、お前が死んじゃうんだぞ!?」
奏平君が声を荒げる。
空中に向かって怒鳴っている奏平君を流華ちゃんが不思議そうに見上げる。
「奏平・・・?誰と喋ってんの?」
「・・・聡と、だよ」
奏平君は俺から睨み付ける目を離さないようにしたまま短くそう告げる。
俺は奏平君の目を見ないようにそらしていた。
流華ちゃんは弾かれたように奏平君の視線の先を見上げる。
「・・・!聡!?聡がそこにいるの!?」
「聡が倒れる少し前からね。
俺には見えてたんだ」
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