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「なんで、奏ちゃんだけっ…さとるっ!聡!」
普段ならこんな事信じないだろう。
ただでさえ、お化けやらが大の苦手な流華ちゃんだ。
でも、今だけはそんなこと気にしていられないくらい追い詰められているのだろう。
そんな彼女を悲しく思うと同時に少し嬉しくもあった。
流華ちゃんが呼んでくれているのだ。
あの【聡】じゃない、
【俺】のことを。
「流華ちゃん・・・」
「聡・・・私を置いて行かないでっ!」
流華ちゃんが必死の顔で俺を見上げて懇願する。
泣きまくっていたその顔は早くも目の下が腫れだしていた。
切なくなる。
もし、奏平君のいっていた事が本当なら流華ちゃんのために
俺は自分のところへ還りたい
そのためだったら、『俺』なんてどうなってもいい
流華ちゃんが泣くのはもっとイヤだから。
俺は目を閉じ深呼吸をすると大切な親友と彼女を見つめ返した。
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