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「傘……っ。」
もう聞こえないくらいまでに走っていった侑弥くんを見て、呟いた。
傘…どうすんのよ?
空を見ると、やっぱり雨雲がどす黒く、雨を生み出していた。
「せっかくだし…。」
無理矢理持たされた傘を上に持ちながら、玄関前を出る。
持たされた傘は、侑弥くんの温かい掌の温もりがあって、何だか胸が締め付けられた。
口悪いけど、優しいところもあるんだな。
何回も何回も使われた傘を見たら、侑弥くんの横顔を思い出してしまった。
顔が不覚にもニヤけてしまう。
「ありがと。」
独りで呟いて、ニヤけている私は周りから見たら、どんな奴なんだろ?
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