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なんて、思いながら勇敢にも一歩一歩とその人だかりに近付く私。
こんなに女の子たちが煩いということは、アクセサリーとか服のバーゲンだろうか?
「す、すみません。ちょっと通して下さい。」
女の子と女の子の間を無理矢理割り込むと、目の前には彰弥くんがいた。
「あ、彰弥くん。なんかここら辺人いっぱい居るよね。もう買ったから早く行こう。」
通りづらいだろうから、彰弥くんの腕を掴み、引っ張った。
「あ、蓮華。あの…。」
私は彰弥くんを引っ張りながらズイズイと女の子たちを掻き分けて行くと、女の子たちが驚きながらも道をあけてくれた。
「あー、彼女待ちだったんだー。」
「ショック~。めっちゃタイプだったのに~。」
「でも、アレは彼女っていう顔?」
「釣り合わなくない?美男子と平凡女って感じじゃん。」
「だね~。じゃ、妹かも?」
「あっはは。顔が似てない兄妹ね~。」
え?ちょっと待ってよ。
女の子たちの声を背中に浴びながら歩いていた。
…よく考えたら、彼女たちはみんな、彰弥くんが居たから集まってたの?
モテるのねー。
後ろで私に引っ張られてる彰弥くんをチラリと見た。
まあ納得してしまうけど…。
また顔を前に戻す。
フッと、さっきの女の子たちの言葉が私の頭の中に浮かんだ。
『釣り合わなくない?』
そんなの、誰よりも自分が理解してるって。
分かってるって。
無意識に彰弥くんの腕を掴んでいる手の力を強めていた。
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