風邪と…

12/18
前へ
/661ページ
次へ
彰弥くんがドアを開けたら侑弥くんはベットに横たわっていた。 「爆睡中でしたね。」 「そっか、良かった。」 風邪だもんね、寝るのが一番だ。 起きてたら何て声をかけたら良いか第一声に迷うから…少しホッとした。 小さめに話しながら、「失礼しまーす。」と言い、侑弥くんの部屋に足を踏み入れた。 ベットの近くまで寄ると、彰弥くんがベットの近くに置いてある椅子を私に近付け、座らせてくれた。 「ありがとう。」 「いえいえ、せっかく来てくれたんですから、侑弥を叩き起こしましょうか?」 笑顔でホントにやりかねないことを言うから、頭をブンブンと振って断った。 「そうですか…。分かりました。」 残念そうな顔をされても困ります…。 「あ、そうだ。買ってきたゼリーどうしよう。」 「冷蔵庫に冷やしてきますよ。」 彰弥くんがそう言ってくれるから、ゼリーが入った袋を彰弥くんに託した。 「ありがとう。よろしくー。あ、桃とみかん買ったから、2人でどっち食べるか決めて。」 「俺の分もあるんですか?」 袋を覗きながら、キョトンとした表情で彰弥くんが言った。 「うん。捨てないでちゃんと食べてくれたら嬉しいです。」 「捨てるわけないじゃないですか。ありがとうございます。後で食べますね。」 彰弥くんはフッと笑って、嬉しそうに微笑んだ。 ゼリー2個で、喜んでもらえて何よりだ。 「では、俺は少しここを出ますので。ごゆっくり。」 彰弥くんはニコッと笑って、部屋を静かに出て行った。  
/661ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17581人が本棚に入れています
本棚に追加