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“だった”?
「“だった”って…?今も好きなんだよね?」
何故だろう。責めるような口調で言ってしまった。
「…今も好きでも、諦めるしかないだろ。」
「……。」
侑弥くんは切なそうに笑う。
諦めるしかない…か。
「…諦めないでよ。」
「へ…?」
思わず、思ったことをそのまま言ってしまった。
「まだ分からないよ!…気持ち伝えてみたら?」
「もう彼氏いんだぞ?そんなこと出来ねーよ…。」
「でも、気持ちだけでも伝えて欲しいのっ!!」
「なんで?」
私がムキになって言うと、侑弥くんがホントに意味が分からないと言うような顔で聞いてきた。
「侑弥くんの気持ちが勿体ないよ。あんなに好きだったのに、何も言わずに諦めるなんて…。」
「大丈夫…。きっと、諦める。すぐに好きじゃなくなるさ。」
じゃあ、なんで寝ぼけながら椿の名前呼んだの…。好きって言ったの…。
椿のことが今もまだ大好きだからでしょ。
「お願いだから…気持ち伝えてよ…。」
よく分からないけど、自分の声が震えていた。
自分の膝に置いた手も、制服のスカートをギュッと握っていた。
侑弥くんも目を見開いて、驚いてるみたい。
なんで?
なんで、好きなのに…諦めて欲しくないと思うんだろう。
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