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私も同じだ。
私も…ただただ逃げてるだけだ。
「侑弥くん、あの…。」
「ありがとな。」
私の言葉を遮り、侑弥くんはお礼を言った。
「ううん、どういたしまして。」
私が首を振りながら言うと、侑弥くんはニコッと笑って立ち上がった。
そして、ドアに向かって歩き出す。
「蓮華に言われるなんてな。ビックリした。でも、自分の気持ちに正直になれそうな気がする。
元気になったし、明日には学校行けるぜ。」
ドアに向かう足を止め、私の方を向きながら言った。
「良かった!でも、あまり無理しないでね。」
侑弥くんの元気になった笑顔を見て、私も嬉しくなって笑った。
良かったぁ…。
体調もほとんど良くなったみたいだし、顔色も良い。
明日になったら、また学校で会え…
「おぅ!分かった!明日椿に、俺の気持ち伝えるな。」
………っ!!
「…うん。頑張って。」
一瞬、顔が強張ってしまった。
でも、すぐに侑弥くんに笑いかけた。
「あぁ、本当にありがとう。ちょっとトイレ行ってくるから。」
「うん。」
侑弥くんはドアを開け、部屋を出た。
パタン…と静かな音が、部屋に響く。
…これで、良かった。
侑弥くんが元気になって、椿に気持ちも伝えれる。
何故だか、悲しい感情があまり湧いてこなかった。
椿に、侑弥くんの気持ちが届きますように…―と、今まで以上に心から願っていた自分に驚いた。
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