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「蓮華?靴履かないの?」
玄関で外靴を履いた椿に言われ、「う、うん。」と応え、急いで靴を履いた。
最後に廊下辺りを見渡すと、走る音が聞こえる。
も、もしかして…。
椿も走る音が聞こえ、廊下の方を向いた。
いつの間にか、息を切らしていた侑弥くんが膝に手をつけて立っていた。
「良かったぁっ!」
良かったー、間に合った!
「あれ?侑弥くんどうしたの?」
息を切らしている侑弥くんを見て、椿は聞く。
「つ…っ、椿、話しがあるんだ…っ。」
息絶え絶えに言う侑弥くん。
侑弥くんはそう言うと、私の方を見て、微笑んでくれた。
私も微笑み返して、「私、もう帰るね。」と2人に言って学校を出た。
後は侑弥くんに任せよう。
侑弥くんがどう椿に想いを伝えるのか全く分からないけど、きっと椿は侑弥くんの気持ちに喜んでくれる。
例え、両思いになれなくても…侑弥くんの気持ちは無駄にはならない。
そのことが自分のことのように、すごくすごく嬉しい。
今日は寄り道せずに真っすぐ帰った。
空を見上げると、澄みきった…よく晴れた空だった。
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