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「実を言うと、椿と俺は花火大会で初めて会った…というか、初めて会話をした。
椿は俺を見るのも初めてだったみたいだけど、俺は結構前から椿のこと知ってたんだ。
もちろん、双子で有名だったってのもあるけど、廊下や図書室で見るたびに何か…目が離せなくなってた。」
「…それ、一目惚れ…?」
私がボーっとしながら聞くと、義貴先輩は顔をカアァッと赤くしながら頷いた。
「まあ、そうだ…。
椿をよく見てたんだけど、1人で居る時に必ず辛そうな顔をしてんだ…。
いつもホンワカとお前とかの前で笑ってんのに、1人になった途端に眉間に皺寄せてんだよ。
だから、コイツ自分隠してんのか?って思い始めて、ちょうど良い時に花火大会でバッタリ会ったっていうわけ。」
「…へえ。」
スゴい…。私は全く椿の辛さに気付かなかったのに、この人は…ずっと椿を見て…気付いたんだ。
「花火大会の日に、椿がいつも以上に辛そうな苦虫を潰したような顔するから、アイツの思考を今までの様子に無理矢理繋げて、無理矢理当てたら、ドンピシャだった。
ポロポロ泣き出してさ、今まで我慢してたかのように沢山涙が出てくるんだ。
椿が気持ちを話し出して、宥めて…少し和解した。だから…俺…、アイツに提案した。」
「提案…?」
義貴先輩の話しを聞いてると、椿に申し訳ない気持ちばかり押し寄せてきた。
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