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「ああ。そうだ…。」
義貴先輩は思い出すかのように、ゆっくり話し出した。
―――――――
『あのさ、ひとつ提案があるんだ。』
『な…に…?』
椿がやっと落ち着き、ベンチに座って話してる時に俺は提案した。
『もう、お前の好きな奴と妹の前では言っちまったけど、俺と付き合わない?』
『はっ!?』
椿に言うと、口をポッカリと開けたまんまにしていた。
『いや、最初からじゃなくて…。
お前が好きな奴のこと諦めるまで待っててやるから…、告白してみろよ。』
『な、そんなこと出来ないよ!』
『好きなんだろ?』
『…うん。』
『なら、諦めるなよ。妹に取られたくないんなら、自分から取りに行けばいい話しだろ?』
『…うん。そうだけど…。』
『俺も多少は協力するし。もし、好きな奴も椿が好きだったんなら、俺はアッサリ身を引く。
どうだ?』
『でも…、貴方に悪いわ…。それに、付き合ってるって嘘を言ってしまったんだもの。』
『大丈夫だ。告白して、オーケーされたら別れたって言えばいい。
気にすることねぇよ。』
『でも…。』
『気にすんなって。
好きな奴に告白するまで、あんま近付かないようにするからさ。』
椿の頭をポンポンと叩くと、険しい表情が少し和らいだ。
俺は、次でもいい。
フられたら、俺に縋ってくれたらいい。
それで、いい。
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