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――義貴side――
その提案の話しを妹の蓮華にした。
ただ、好きな奴の名前と妹の名前が出たとこだけは言わなかった。
その部分を抜かしても、俺の伝えたいことは伝わるだろう。
妹に全部話し終えて、改めて妹の顔を見た。
「っていうわけだ。」
「…ぐすっ、義貴先輩…貴方って人は何て…何て良い人なの…。
最初は学生で校則違反の茶髪にしてるから……勝手なイメージつけてた…でも、こんなに素晴らしい…人だったなんてっ。」
妹は涙目になりながら、興奮して俺の肩をポンポンと片手で叩いた。
「……あ、ああ。何かよく分かんねーけど、ありがとう。」
「そっか…、椿…他に好きな人がいるんだ…。」
「まあ…な。だから、そっとしといてやってくれ。」
「はい、分かりました。」
妹が考え深げに返事をし、その言葉を聞いて少しホッとした。
「ありがとな。後、椿の恋…邪魔しないで応援できるか?」
「何言ってるんですか!もちろんですよ!ワザワザ椿の恋路を邪魔するわけないですよー。」
妹は手を振りながら、ニコニコと笑った。目がまだ微かに潤んでいたが、涙目も乾いたみたいだ。
「そうか、分かった。じゃあ俺、帰るから。
椿には来たこと言わないどいて。後、話し聞いたこともな。」
妹にスラスラと言葉を残し、ベンチから立って、帰り道を歩いた。
椿の気持ちが分かった気がする。あんな妹もったら、自分の性格が思い知らされる。
あの妹には、嘘つけねーわ。
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