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《クスクスクス……花子だよ……》
別にお前の名前は聞いてないが。
「ええ~!!」
すると今度は西澤が気の抜けた悲鳴を上げた。
「今度は何だよ?待望の花子さんじゃねーか」
「出て来ちゃったら……意味が無いのに~」
西澤はいきなりランドセルを引っくり返した。
庄司同様、雪崩のように散らばる怪しい皆さん。
紫色の液体が入った小瓶、尖った蝋燭、蛇の皮、鼻眼鏡……鼻眼鏡?
「シクシク……」
西澤はベタな泣き声を上げながらうずくまってしまった。
「……お前ら」
俺一人、残しやがった。
《アハハハッ!おにいちゃん遊ぼうよ~》
「俺はそんな無駄にテンションの高い妹を持った覚えは無い!」
暗闇よりは幾分、視界が明るくなったがやはり少女らしき姿はどこにも見えない。
俺は丸まっている庄司と西澤が邪魔なのでとりあえず後ろに庇った。
《おにいちゃん、私と……》
「しつこい!」
イライラした俺はつい本音をもらしてしまった。
あれ、今なんかプチッて聞こえたような。そういえばプチプチって面白いよな。あの指で潰すやつ。
《……》
何かくだらないことを考えてる間に、少女が一言も喋らなくなってしまった。それに心無しか空気が冷たくなってきた気がする。
《ワカッタヨオニイチャン、フタリデアソボウ……》
突然少女の声がスローモーションのように低く轟いた。
いや、俺何も言ってないんだけど……
何か殺気が伝わってくるような気がするが……とりあえず腹減った。
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