妖怪旅館 壱

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 ちなみに今回の一泊二日温泉旅行は、古研としての活動ということになっている。  もちろんカモフラージュとして、目的は昔ながらの旅館で和を堪能し云々、と最早無理矢理にも思える理由をつけたのだがやはり教師は口出ししてこなかった(古研部には顧問が居ないため代わりの適当な教師に活動内容を伝えている)。  その時気づいたのだが、教師達はどうも、古研部の連中とは関わりを持ちたくないらしい。……悲しいことにその中には俺も含まれているのだが。 「先生わかってください、俺だけは変態じゃないです」 「………………えっ!?あっ、そうなん、いや、へえ」  うわ、よりによって最悪なワンシーン思い出しちまった。  俺は溜め息をひとつ吐くと、後部座席を立った。 「あれぇ先輩~?どこいくんですか?」  背後から聞こえる西澤の声をスルーしつつ、俺は睡眠を妨害されるのを防ぐため、一番前のドア付近の席に移動した。  ……まあ小型のバスだから、対して後ろの席と前の席の間の距離は長くないのだが、西澤の隣よりはマシだろう。それに俺は基本的にどこでも寝られる体質だ。……路上とかは多分、無理だけど。  俺は眠りに集中すべく、再度窓にもたれかかり目を閉じた。  視線が刺さる。まさに俺の頭に穴が開くほど……いや、むしろ開けようとしてるんじゃないかという位の勢いで複数の人間に凝視されている。  頭が痛い。痛いっていうかもう熱い。奴らの眼はレーザー機能でもついてるのか!?  ……限界だ。  俺は意を決し、バッと後ろを振り返った。
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