妖怪旅館 壱

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 ……部員全員が無表情で俺を見ている! 「なっ何だよ、気持ち悪いな……」  俺が言うと部長は無言で四本の割り箸を見せてきた。……まさか。 「王様ゲーム……ですか?」  やっぱり無言で肯く部長。なんで喋らないんだよ。俺はキッパリと、 「謹んでお断りします」  と言った。すぐにクルリと向きを変え、また眠りに専念することにした。  ……のだが。  また視線が刺さってくる。しかも今度のはさっきよりも強烈だ。このままではいずれ、俺の毛根が死滅するんじゃないかという勢い。  なんでそこまで王様ゲームやりたいんだ?  ……畜生。  俺は負けを感じ、同時に悔しさを覚えつつも渋々立ち上がった。こうなったらもう、やるしかない。 「……仕方ねえ。今回だけは乗ってやるよ……この思春期の塊が!」  俺は特に部長をピンポイントで睨みつけながら言った。 「誰が思春期のカマタリやねん!」  調子に乗ってボケた部長の顔を俺は思い切り殴ってやった。  あと関西の人に土下座して謝れ。
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