花子さん

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 放課後。  俺はいつものように三階へと続く階段を上る。部活に行くためだ。 「……えーっと、確かこっちだったよな」  俺はブレザーのポケットから、教室から部室までの道順が書かれた紙片を取り出して部室の場所を確認する。  階段を上がって右の廊下を真っ直ぐ進んで突き当たりを左に行くと、一番奥に点滅状態の蛍光灯に照らされた薄暗い異質な空間が見える。そこが古研部のある場所だ。  俺は小さく溜め息を吐くと、紙片をポケットにしまい歩き出した。  ……正直に言うと、俺は極度の方向音痴である。自分の家以外だと必ず迷ってしまう。情けないことに二年になった今でも、部室に行くにも注意が必要なくらいなのだ。たまにボーっと何も考えずに部室へ向かおうものなら、あっという間に迷い込んでしまう。大袈裟と思うかもしれないが、俺にとって学校とは巨大な迷宮なのである。 「……あれ?」  気付くと俺の目の前には見慣れない風景が広がっていた。  どうやら今の考え事の間に、またラビリンス入りしてしまったようである。image=229417522.jpg
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