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「先輩~?大丈夫ですかぁ?校舎に入りますよ!」
気づくと西澤が俺の顔の前で手をヒラヒラと振っていた。
「あぁ、悪い」
俺は脳内を完全思考モードからノーマル思考モードに切り替え、西澤の後を追い始めた。
*
「……おい、西澤。いや変態」
俺は懐中電灯の光を先頭を歩く西澤の背中に向ける。
その背中にさっきから見える真っ赤な物体。そして鈴の鳴るような耳障りな音。
ランドセルである。
「なんでお前……背負ってきたの?」
ランドセルという言葉はあまりにイタすぎて言えなかった。
「ああ、このランドセルですか?可愛いでしょう?やっぱりランドセルといえば赤ですよね~」
「ランドセル云々は聞いてない。何で持ってきたのかって聞いてんだよ」
何回もランドセルという単語を連発している内に、変な感覚がしてきた。ランドセルって銃の一種かなんかだったっけ?みたいな。
西澤は満面の笑みを浮かべて答える。
「ああ、これは花子さんにプレゼントするためですよ。決まってるじゃないですか~」
「……お前は友達になりたいみたいだが、あっちは友好的に接してくれないかもしれないぞ」
むしろ、攻撃的な可能性の方が高い気がする。
……花子さんとやらがいたとしての話だが。
しかし幽霊にプレゼントとは全く変な奴だ。俺もこいつのこの程度の行動には慣れているから敢えて突っ込まないが。
そうだ、ここでこの変た――西澤について紹介しておこう。
本名は西澤祢音(にしざわねね)。今までからも分かる通り、少なからず変わり者なことと美少女ということで学年でも有名な人物である。
古研部の一員であるからもちろんオカルト大好き人間の一人だ。
ちなみに俺のことを先輩と呼んでいるが、クラスメートであり当然俺と同じ二年生である。
家が結構な金持ちらしいというような話も聞いたことがあるが、それについてはよく知らない。正直言って信じられない。
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