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「あぁ~僕、何だかソワソワソします」
突然俺の後ろにいた庄司が、小刻みに妙なステップを踏み始めた。ソワソワソって何だ。
「何だよ便所か?どうせ今から行くんだから我慢しろよ」
「いや、そういう意味じゃなくてですね。何かこう……変な感じするんですよ、ここ。やっぱり、居るんでしょうかね……」
「いゃい!!蜘蛛の巣引っ掛かった~」
突如俺と庄司の背後から未確認生物の悲鳴が聞こえてきたが、華麗にスルー。
「……いるって何が?」
「決まってるじゃないですか、霊ですよ、霊!」
「ちょっば、おまっスパイダー離れろって!しまいにゃ泣くぞ!」
「へー、お前見かけによらず霊感あるのか」
「あぎゃわぁ~スパイダーマンがぁ俺のうなじに~」
「霊感なのかどうかははっきり解らないですけど……それにここ、何か……微妙に血の臭いしませんか?」
「ひっひひっひのにほひグフォッ!?」
「うるせーよ」
俺は背後にいる部長の鳩尾に思い切り肘鉄をかました。そのまま、声もなく床に倒れ伏す部長。
「ったく部長は……」
悶絶している部長を呆れた目で見下ろしたその時。
前方を照らし出していた四つの懐中電灯の光が、一斉に消えた。
「!」
辺り全体が暗闇に呑まれ、周りの温度が一気に低下したような感覚がした。
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